さるかに合戦
むかしむかし、あるところに一匹の蟹がいました。
蟹が拾ったおにぎりを持って歩いていると、そこにずる賢い猿がやってきてそこらで拾った柿の種を差し出し、
「柿の種とそのおにぎり交換しよう」
と言ってきました。
蟹は最初は嫌がっていましたが、
「柿の種を植えればどんどん成長して柿がたくさんなるぞ。おにぎりよりずっと得するぞ」
と猿が言ったので蟹はおにぎりとその柿の種を交換しました。 蟹はさっそく家に帰って
「早く芽をだせ柿の種、出さなきゃ鋏でちょん切るぞ」
と歌いながらその種を植えると、せっせと育てました。すると柿の木はいっきに成長してあっというまに柿がたくさんなりました。
そこへあの時の猿がやって来て、柿が取れない蟹の代わりに自分が取ってあげようと木に登りました。
蟹が
「早く柿をくれよ」
といいますがずる賢い猿は自分が柿を食べるだけで蟹にはいっこうにあげません。
蟹が早くくれと言うと猿は青くて硬い柿の実を蟹に投げつけ、蟹はそのショックで子供を産むと死んでしまいました。
その子供の蟹達は親の敵を討とうと栗と臼と蜂と牛糞と猿を家に呼び寄せました。
栗は囲炉裏の中に隠れ、蜂は水桶の中に、牛糞は土間に隠れ、臼は屋根に隠れました。
そして猿が家に来て囲炉裏で身体を暖めようとすると栗が体当たりをして猿は火傷をおい、
急いで水で冷やそうとすると水桶に隠れていた蜂に刺され、
家から逃げようとしたら土間の牛糞に滑り、
屋根から臼が落ちてきて猿は潰れて死んでしまいました。
見事子供の蟹達は親の敵を討ててました。
